突然だが、言葉は良く出来ている。
私は言葉を大切にしている。
友達を遊びに誘った際、「いいよ」ではなく「いいね」と言ってほしいし、「ごめんね」ではなく「ありがとう」がいい。
今回はそんな言葉についての話。
「兆」という漢字について話したい。
「兆」の意味
「兆」という漢字の意味は下記の3つがある。
①きざす、まえぶれ。
②うらない、うらなう。
③数の単位。数が多いこと。
兆しとは「物事が起ころうとする気配。兆候」という意味。
そもそも「兆」の由来は「占い」という意味から来ていて、亀の甲や獣の骨を焼いて、そのひび割れた表面をもとに、占いをしていたらしい。
ここで、「兆」という言葉は、悪い意味で使われていたと考える。
予兆、前兆。
事故や災害を彷彿とさせはしないだろうか。
逆にいい意味で使う際は、いい兆し、回復の前兆など、“いい意味の言葉”を付け足して意味を紡いでいるイメージがある。
逃げると挑む
今回はそんな「兆」を含む、「逃げる」と「挑む」について考えたい。
逃げると挑む。どちらも「兆」が入っているが、意味は真逆。
面白いと思ったので、このふたつの言葉について深掘りしてみた。
逃げる
逃げるは、しんにょうに兆で構成されている漢字。
しんにょうには「進む」「走る」「道を行く」という意味がある。
敷かれたレールをそのまま進む。というニュアンスで、受動的。
挑む
一方の挑むは、手偏に兆。
手編は「手に取る」「てずから(自ら)」という意味があるそうで、「手繰り寄せる」というニュアンスの言葉。
自ら起こす行動を表し、能動的なイメージ。
兆しにどう対するか
逃げると挑む。
このふたつの違いは、何かの兆候が起きた際、どう対するかにある。
悪い兆候があったときにそのまま進むのか(=逃げる)
自らその兆候に立ち向かっていくのか(=挑む)
自分の脳を使って考え、世の出来事にどう接するのか。
そのわずかな違いによって意味が全く変わってくる。
逃げるが悪、挑むが正というのはなく、時と場合による。
このタイミングはこう対処する、この対処はこう。
自分の頭で考えて、逃げるか挑むかを選択していきたい。
他の兆し
逃げると挑む。
この他にも、跳ぶ、眺める、誂える、桃など、
たくさんの兆を含む漢字がある。
普段何気なく使っている言葉を改めて考えてみるきっかけになれれば幸いです。